「同じ事は2度と繰り返したくない」

加藤和彦氏が自ら命を絶ってしまってから、何か書きたいというもやもやしたものが私の中で渦巻いています。

昭和42年の終わり、私が小学6年生も卒業近い冬休みに「帰って来たヨッパライ」は爆発的に売れました。
ソノシートを除いて、私が生まれて初めて買ったレコードは「僕はトッポちゃん/山崎唯 久里千春」で、2番目に買ったのがこのフォークルのシングル盤でした。B面は何故か「ソーラン節」です。

それから「イムジン河」の発売中止事件があって、「悲しくてやりきれない/コブのないらくだ」「花のかおりに/何のために」といったシングル盤も購入しました。
解散コンサートのアルバムは姉とお年玉を出し合って「協同購入」した記憶があります。
「ユエの流れ」という曲は加藤氏がたぐい稀なヴォーカリストである事を示しています。
あとフォークル時代で忘れてはならないのは「オーブル街」でしょう。

解散後 加藤氏が最初に出した「僕のおもちゃ箱/明日晴れるか」も買いました。私は中2になっていました。
「明日晴れるか」の作詞は阿久悠氏 演奏はほぼジャックスのメンバーです。

それから「日本の幸福/ネズミチュウチュウ ネコニャンニャン」「僕のそばにおいでよ/アーサーのブティック」
夢中で聴きました。 「屋根の上~~ 大通りなる 屋根の上~~ 恋のときを~~ 唄いて~~ 踊りて~~ 過ごせる~~  蜜なるか 甘きこの宵~~」という なんとも 牧歌的な まったりした楽曲(ネズミチュウチュウネコニャンニャン)は 今聴いても 斬新なものです。 アーサーのブティックの三味線によるイントロも今でも耳にこびり付いています。

「あの素晴らしい愛をもう一度」はスリー・フィンガーの練習曲としてうってつけで 「日本の幸福」とともに私のギター弾き語りのオハコでありました。

それから ミカバンドです。「黒船」にもぶっとびましたが「ホット・メニュー」というアルバムが一番好きです。シングルでは「ハイ・ベイビー」の切ない余韻がすきです。

解散後の安井かずみさんと作ったアルバムもほとんど聴いています。
矢野顕子さんのピアノのイントロが印象的な「あの頃 マリー・ローランサン」が特にいいです。
失恋した男性が都会でひっそり暮らすといった、おしゃれな短編小説風のアルバムです。

歌舞伎や映画の音楽とか他のアーチストに提供した曲、プロデユーサーとしての仕事も評価は高いですが、私にとって加藤和彦はやはりミュージシャンでした。

「パッチギ」でイムジン河に再び注目が集まり、フォークルをもう1回だけやって、木村カエラさんを抜擢した 最後のミカバンドを終えた時点で 彼は燃え尽きたのではないか・・・ 今にしてそう思います。

「同じ事は2度と繰り返したくない」これはフォークル解散(1968)時点での彼の言葉です。その美学を貫いたというか、先へ先へと進む力がもう、残されていない事に気付いたときに 生きる意欲まで失ってしまうという純粋さに 強く 感銘を受けました。 鬱になってしまう人は自分をごまかせないのです。

人生の甘さ、にがさを知り尽くした、おとなの鑑賞に耐える彼の作品群は これから さらに再評価されていく事でしょう。

心よりご冥福をお祈りいたします。


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